ピーチーの闘病記:劇症肝炎編 (1話~6話)
Review
カテゴリー:診察記
作者:高栖 匡躬
わが家の愛犬ピーチーは、生後6か月から何かにつけて病院通いでした。
一生のうち、病院に行かなかった月は一度もありません。
14年以上続くことになる、アレルギー性皮膚炎での毎月の病院通いに加え、色々な病気や怪我をしました。獣医さんともすっかり仲良くなりました。
劇症肝炎はそんなピーチーの、闘病コレクションの中でも特大級の危機でした。
グッタリして熱がでて。熱中症との診断。
点滴で体調が戻った。
――と思ったのも束の間のこと。
数日後に高熱出て、早朝の救命救急に。
その時、ピーチーの体の中では劇症肝炎が起きていました。
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劇症肝炎闘病記|1話
筆者の愛犬ピーチーは2014年8月16日の早朝6時、救命救急に駆け込みました。
40度を越える高熱。ぐったりとして動けない。
ただごとではないと思いました。
振り返ると、異常を感じたのは8月10日の夜。
突然の体の震えと、食欲不振が恐らく前兆だったのでしょう。
このときは、掛かりつけの病院で、熱中症と診断。
その時には、肝臓の諸数値は正常値でした。
そして6日たち、16日の朝を迎えます。
この日から、命を賭けた闘病が始まったのでした。
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劇症肝炎闘病記|2話
救命救急で肝臓の諸数値の悪化を確認。
急激な悪化から、劇症肝炎であることは間違いなし。
しかし、その病院で出来ることはここまで――
救命救急センターでは救命措置はできても、治療が出来ないとのこと。
主治医の病院の診療開始時間が来るのを待ち、急ぎそちらに移動しました。
移動はしましたが、緊急度が高くて、主治医の手におえる状態ではありません。
結局、専門医による二次診療を受けるために、すぐに2度めの移動。
専門医によれば、劇症肝炎はその原因によって対処が異なるとのこと。
病状は深刻で、一刻の猶予も無い状態。
原因の究明をしている時間など、とても残されていないように思われました。
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劇症肝炎闘病記|3話
その夜、集中治療室に入ったピーチーに面会に行きました。
そこで会っておかなければ、最後になるかもしれないという思いがありました。
高濃度の酸素ブースに入り、肝機能を保護するための点滴を受けているピーチー。
しかし、それは現状を維持するためのもので、治療ではありません。
いつもの目の力が無い――
早急に治療方針を決める必要がありました。
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劇症肝炎闘病記|4話
一夜が明けた翌日早朝。
それまでの経過と、ピーチーの既往症についてまとめました。
まずは、今何が起きているかを正確に把握しないと、医師とも相談のしようがありません。
既往症の中でも、特にてんかんが気になっていました。
肝炎とてんかんは本来無関係なものです。
しかしてんかんの発症と共に、ピーチーの体調の変化が起きたように思えて、妙に頭に引っ掛かったのです。
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劇症肝炎闘病記|5話
朝、面談した医師の第一声は、
「難しい状況になってきました」
というものでした。
つまり、予断を許さぬ状態ということです。
選択肢は外科手術と、内科療法。
外科手術は治療方針を決めるためのもので、治療ではありません。
内科療法は、原因が分からぬままで、当てずっぽうで治療法を1つずつ試していくもの。
医師の薦めは外科手術での原因究明でした。
どちらにするか? 決断は夜です。
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劇症肝炎闘病記|6話
自宅に戻り、治療方針をどうするか考えました。
外科手術も内科療法も、どちらも勝ち目の薄い勝負です。
色々と考えた末、ピーチーの肝炎の原因は、自己免疫不全と推測しました。
ずっと頭に引っ掛かっているてんかんと、今回の肝炎を結びつける原因があるとしたら、それしかないように思いました。
夜、病院に行って、医師に考えを伝えました。
「自己免疫不全に絞った治療をして欲しい」
行なうのは、ステロイドの大量投与。
ピーチーと面会して、
「決めたけど、良いよな」
と伝えました。
その夜から、ステロイドの大量投与が始まりました。
作:高栖匡躬
解説:高栖匡躬
――ピーチーの闘病記:劇症肝炎編・次のまとめ読み――
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